587卓球ラバー考

まず読売新聞(2012年9月21日→http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20120921-OYT1T00319.htm)から引用する。

水谷選手,国際卓球連盟に抗議の「一時撤退」
ロンドン五輪の卓球男子代表で,2007〜11年に全日本選手権5連覇を果たし,現在世界ランキング6位で日本男子最上位にいる水谷隼(23)(スヴェンソン)が20日,ルールの厳格化を求め,「国際試合出場をキャンセルする」との意向を明らかにした。
日本卓球協会によると世界では,ラケットの反発力や球の回転量を増やす目的で,ラバーを貼る際にラバーを軟らかくする効果がある液体「補助剤」を用いているケースがあるという。国際卓球連盟は,補助剤を塗ることを原則禁止し,試合前にラケットの検査をしているが,ラバーが膨らむなど明らかに物理的な変化がなければ,補助剤の違反を見つけるのは困難という。
同日,地元静岡の磐田市役所を訪れた水谷は,「同じ土俵じゃないのに戦って負ける。正々堂々と戦いたい。ルールが改正されるまでは(国際試合から)一時撤退する」と語った。すでに10月までの海外の大会欠場を決めたという。
日本協会は補助剤の使用を厳格に禁じており,国内で違反者はいないという。一方,一部の海外選手の使用は,選手の間では「公然の秘密」とされ、水谷も,「多くの海外選手が規定に違反している」と主張している。

補助剤を使用していないのは日本選手とドイツのボルだけだと言われている。以前スピードグルーという有機溶剤を使い試合前にラバーを貼り,反発力と摩擦力を高くすることが普通におこなわれていた。打球時カキーンという金属音がした。健康被害もあり,さらに用具ドーピングということで2008年9月末をもって使用が禁止された。同時に有機成分を含まない水溶性接着剤も禁止された。
卓球の試合を観たらわかるように,検査をし違反ではないと認定したラケットを審判が試合会場に持ち込み,選手に手渡す。また,ゲーム終了時やタイムアウト時にはラケットを卓球台に置いておく。これはラバーを張り替える行為を防止し,検査したラケットを使っているという可視化のためだ。
卓球は技術と体力のみならず用具(とくにラバー)の要素が大きいスポーツである。補助剤違反を未然に防止するには試合主催者が選手使用希望の未開封ラバーを公認接着剤で貼って試合前に手渡すといった措置でもとらないかぎり無理ではないかと思う。水谷の勇気あるプロテストにエールを送りたい。