116「高」が「大」に勝つ

卓球の日本選手権男子シングルス決勝は高校三年生吉村真晴(山口・野田学園高校)が6連覇を狙った水谷隼明治大学4年)を4-3で下し初優勝した。水谷以来の高校生チャンピオンとなった。
水谷の打球処理のうまさを,吉村の打球の威力と回転が凌いだということだろう。水谷は2ゲーム落としたあとの2ゲーム連取は攻撃的な卓球ですばらしかった。やや守りに入った感があり,さきに3ゲームを取られてしまった。3-3とゲームを取り返し,このまま6連覇達成かと思ったが,最終ゲーム10-7とマッチポイントを握ってからあと1本が取れなかったのが惜しい。こういう場面では相手のミス待ちになりがち。吉村の積極性が水谷を上回った。
吉村は中国選手でいうと,長身で威力のあるドライブが特徴の王励勤(Wang Liqin)や馬龍(Ma Long)に似たタイプだ。今回水谷の最年少優勝記録を破るのではないかと期待されていた丹羽孝希(ジュニアでは3連覇)や松平健太は現世界チャンピオン張継科(Zhang Jike)やドイツのボル(Timo Boll)のようにキレの良さが身上のプレーヤーである。
吉村はジュニアのアジアチャンピオンでもあるし,世界ジュニアでも3位に入っている実力を持っている。けっしてまぐれではない。
最終ゲームの3-3のあとの水谷のスーパーショット(卓球台の横に流れたボールをネット横から返球)は見事だった。