683伊原美代子著『みさおとふくまる』

書誌情報:リトルモア,64頁,本体価格1,600円,2011年10月28日発行

みさおとふくまる

みさおとふくまる

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90歳近くの耳が遠くなったみさおおばあちゃんと10歳近くで左右の瞳の色が違い耳が不自由な猫のふくまるとの普段の生活60枚ほどの写真集。日経か朝日の小さな紹介を見て気に入って購入した。
「青い空に白い雲がプカプカ浮かぶ頃,みさおおばあちゃんと猫のふくまるは今日も畑へ出かけます。」の扉を開くと,畑仕事のために足と顔を土だらけにしたみさおおばあちゃんとふくまるが登場する。梅を干す傍で見守り,台車や自転車に乗っているふくまるはごく自然に見える。みさおおばあちゃんが綯う縄をくわえ,一緒にお昼寝もする。おばあちゃんのデカパンの物干し横の木の上,魚を切るまな板の横,アナログテレビ,新聞紙,肩,大根の上,どこもふくまるのお座りの場所だ。
「ある日,家の納屋で,おばあちゃんは左右の瞳の色が違う子猫と出会いました。/おばあちゃんは「福の神様が来て,すべてが丸く治まるように」との願いを込めて,その子猫に「ふくまる」と名付けました。/気づけばおばあちゃんとふくまるが出会って8年。/すっかり耳の遠くなってしまったおばあちゃんと,生まれつき耳が不自由なふくまるは,いつも見つめ合い,お互いを感じ合っています。時々ケンカもしますが,夕飯時には自然と仲直りをしています。/「お日様の下を生きる事ができれば,すべてが好日。今日もいい日だね,ふくまる」/おばあちゃんとふくまるは今日も畑へ出かけます。/おばあちゃん,ふくまる,いつもありがとう。/これからもよろしくね。」
この文章で締めくくっている。しわくちゃみさおおばあちゃんと瞳違いふくまるの日常を切り取った写真はじーんとくる。「2012年1月11日 第3刷」。立ち読みでもものの10分もかからない。でも買って手元に置いておきたい人が多いのだろう。土だらけのふくまるがもっとも猫らしい。
著者(=撮影者)のおばあちゃんがみさおおばあちゃん。この本のカバーを外すと……。書店では外さず,買ってから外してみよう。