書誌情報:岩波新書(1297),xvii+247+3頁,本体価格820円,2011年3月18日発行
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中国研究には資料やデータ不足に悩まされる。「決定的な資料はすべて中国共産党の奥の印に封印されている」からだ。それゆえ中国研究の醍醐味は「縦横無尽の想像力」にあるという。
開発独裁モデルを使った政治分析,国の軍隊と党の軍隊,ネット社会と一党独裁体制,国家統合と対外的安全保障確保のための民族区域自治制度,ナショナリズムの喚起,レアアースの現状などからさまざまな問題を抱える大国を冷静に分析している。
中国本が今溢れかえっている。GNPで日本を抜いた「実力」を語り中国脅威論もあれば,一党独裁体制の限界を指摘するものまで多様だ。政治・軍事・経済・社会・国際関係のモノグラフィーを編集した本書は「中国の現代的位相と今後」について手がかりを与えてくれる。
「共産党の広範な利益供与システム」・「クローニー・キャピタリズム(縁故資本主義)」の行方は専門・非専門を問わずここ当分大きな関心事であり続けるはずだ。
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