1098稲垣清著『中南海――知られざる中国の中枢――』

書誌情報:岩波新書(1540),xii+209+14頁,本体価格780円,2015年4月21日発行

中南海――知られざる中国の中枢 (岩波新書)

中南海――知られざる中国の中枢 (岩波新書)

  • 作者:稲垣 清
  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: 新書

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中南海は北京・故宮の西に隣接する一角にある。いわずと知れた中国建国後の中国共産党中央および中央政府(国務院)の所在地である。ホワイトハウスクレムリン,あるいは霞ヶ関と同じように単なる場所だけでなく権力の象徴でもある。
共産党の国家であること,経済システムはまだ「市場経済への移行段階」であり,政策決定,為替政策,外資政策などは党中央が政治的・経済的に判断している」(149ページ。)中国にあって,党と政府が一体化しているあらわれが中南海ということができる。本書はその中南海を通して中国の政治制度と現状を分析することで中国を論じている。焦点を中南海に据えることによって大国・中国の政治・権力システムの一端がよくわかる。
「中国とつき合うということは共産党とつき合うこと」(151ページ)。「汚職・腐敗撲滅運動」における「党籍剥奪処分」とは政治生命を失うことにほかならないのだ。