書誌情報:講談社現代新書(2182),381頁,本体価格900円,2013年2月20日発行
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中国と台湾の分断後(1949年)初めての閣僚級会談が南京で開かれたというニュースがあった。また,日本の出版物では「嫌中憎韓」がひとつのジャンルをなし,中韓を非難する作品は軒並みベストセラーになっているという(朝日新聞,2014年2月11日付)。
3人の社会学者による鼎談記録は,旅行による中国実体験と交流(出版社持ち?)をふまえつつ,中国という国家のシステム,日中近代化の比較論,歴史問題についての両国のズレ,日・米・中の関係について「アカデミック」に語っていた。儒教と「帮(ほう)」の論理,毛沢東思想の政治的プラグマティズム,「個人档案(とうあん)」による人民支配システム,文革と改革開放,台湾を中心にした安全保障など中国論でありながら,比較日本(人)論にもなっていた。
「マルクス主義を下敷きに,中国流の革命を進めるのが,「毛沢東思想」。普遍主義と中国独自性とが混ざった毛沢東思想に導かれ,中国共産党が革命を進めるというかたちで中国のナショナリズムが完成した。政治の主導によって「中国」の「革命」が課題として設定され,それを担う主体として,「中国人民」が生み出された」(橋爪,138ページ)。「嫌中」類書とは一線を画していることは間違いない。
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