986沢野ひとし著『北京食堂の夕暮れ』

書誌情報:本の雑誌社,237頁,本体価格1,800円,2014年3月25日発行

北京食堂の夕暮れ

北京食堂の夕暮れ

  • 作者:沢野 ひとし
  • 発売日: 2014/03/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

  • -

本の雑誌』2011年1月号から2014年3月号掲載の「歩く旅」に加筆修正した中国紀行文。著者は,同誌の表紙・本文イラストを創刊以来描いているイラストレーターである。
訪れた場所は紫禁城万里の長城(八達嶺),什刹海,壺口瀑布,延安・宝塔山,棗園革命旧址,楊家嶺旧址,党家村,武陵源などである。名所・旧蹟にとどまらず,食べ物,文具,雑貨,建物などなんでもありだ。ぺらぺら中国ノートとレトロな中国製魔法瓶コレクターだけではなさそうだ。
チェロ奏者 S さんと日本人 M さんを旅の道連れにしながら,ふたりの縁を結ぶ形になっていた。
杭州のとある汚らしい店でのこと。反日デモで日本料理店が軒並み破壊された。役人が前日にやってきて店が事故や災害で壊された時の保険に入っているかどうか訊いて回ったという。保険の契約どおりの店だけ集中的に狙われたという。おかみさんの噂話はほんとかもしれない。
台湾・台北と高雄の旅も含まれていた。
口絵のカラースケッチ,本文中のイラストも著者のもの。デジカメやスマホで撮ったのとは違っていつも生身の人が描き込まれている。
本文のレイアウトとフォントはとても読みやすい。やはり中央精版印刷だった。