書誌情報:中公新書(2005),xi+431頁,本体価格980円,2009年6月25日発行
- 作者:天野 郁夫
- 発売日: 2009/06/01
- メディア: 新書
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「大学令」・「高等学校令」(大正7年12月6日)によって,官公私立大学は帝国大学3(それまでは東北,東京,京都,九州の4帝国大学),官立単科大学11(医5,商2,工2,文理2),公立5(医4,商1),私立26の,合計45(総数49)と一気に増加した。敗戦後,高等学校,専門学校,実業専門学校,高等師範学校,師範学校という戦前期の大学以外の高等教育機関がすべて新制大学になるから,大学誕生物語の第一幕までの詳述が下巻ということになる。
日本における高等教育システムが官(帝国大学)―公(官立専門学校)―民(私立専門学校)という序列構造をもって,かつ現状追認的に整備されてきたことを鋭く抉っている。
上下で400字詰原稿用紙1200枚の大作は,資料集としても使える。「現代的と見える問題の多くが,実は歴史的問題」(あとがき)である。
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