書誌情報:朝日新書(603),275頁,本体価格820円,2017年1月30日
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日本の大学論の特徴のひとつに,「アメリカの大学では」とアメリカの大学を例に論じることが多い。その意はアメリカの大学のようにならなければならないである。評者はこれをアメリカ出羽守と言っている。テニュア制度,シラバス,講義評価,AO入試,FD/SD,アドミッション・ポリシー,ディプロマ・ポリシーなど日本の大学で制度化された多くはこの出羽守によるとみて過言ではない。
アメリカの大学で進む格付け(ランキング),テニュア制度,大学スポーツ,入試制度,授業料など建前と本音を現職アメリカ教員(娘)が論じ,配偶者雇用,入試,大学スポーツ,「枯れ木」教授を教育社会学者(父)がコメントしている。
テニュア制度にともなう無難な研究の浸透,配偶者雇用のリスク,授業料高騰の原因,レガシー優先入学の実態,アジア系政治家や学長の少なさ,成績インフレなどアメリカの大学が抱える問題にも切り込んでいて,父以上に(?)冷静なアメリカ大学論を展開していた。類書にない「裏側」ワンダーランドが「インサイド・ストーリーのリアリティ」(父の「あとがき」273ページ)を持っていた。
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