1210音真司著『Fランク化する大学』

書誌情報:小学館新書(281),189頁,本体価格780円,2016年10月8日

Fランク化する大学 (小学館新書 お 17-1)

Fランク化する大学 (小学館新書 お 17-1)

  • 作者:音 真司
  • 発売日: 2016/10/03
  • メディア: 単行本

  • -

タイトルはいささか受けを狙った感はあるが,非常勤講師を経験しての大学論はいたってまじめだ。ボーダーフリーランクつまり受験すれば合格する大学にしたのは,受験生だけでなく大学も教員も関係している。非常勤講師(博士を大量に生み出した文科省の政策と人件費削減で採用する大学),常勤講師,大学名や学部名を変え留学生を動員して定員を埋めながら国際色を出し有名人教授を採用しスポーツを強くする大学というこれらの「Fランク化」が問題と指摘する。
受験する大学訪問,ウェブサイトやパンフレットの見方,就職率・就職先の確認の大事さを訴え,大学の醍醐味はゼミ(研究室)にあると主張する。著者が考える良いゼミとは,(1)厳しい教員がいること,(2)能力・良い考え方・熱意のある教員が担当していること,(3)学生の自主性を重んじていること,(4)研究成果を発表する場があること,(5)学術論文を書かせていること,である。「入った大学でいかに自分を鍛えられるかが勝負」(172ページ)だ。