394相対的貧困と剥奪指標

NHKスペシャル「見えない“貧困” ――未来を奪われる子どもたち――」を観た(→http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170212)。
国や自治体の調査によって見えてきた相対的貧困の実体を報告した佳作だ。大阪の調査から物的資源だけでなく家族・友達とのつながりと教育・経験の剥奪状況が浮かび上がってきた。世帯収入の少なさがつながりを育む時間と家族旅行・習い事などの機会をなくしてしまっている。
大田区の調査からは相対的貧困のこどもたちから自己肯定感を奪っていることを,千葉県の調査からは高校生アルバイトの大半が家計や自分の教育費用にあてていることを明らかにしていた。
高橋みなみは母子家庭だった経験から自助努力の限界と子どもが子どもらしく生きる権利をコメントしていた。
教師を目指して受験勉強に励む女子高校生の,教師から大学合格後必要となる経費(おそらく国立大学)のために教育ローンを紹介されていた。大学には入学時から授業料免除制度があることを知っていたらあれほど絶望しなくてもすんだのではないかと思った。大学には日本学生支援機構奨学金(現在は学部段階では原則返還義務がある)だけでなく,民間の奨学金(給費と貸与)もある。また,最近では,給付型奨学金研究会編『大学進学のための全国"給付型"奨学金データブック』(産学社,2016年12月,[isbn:9784782534625])のような資料もあるので参考になる。
国側からみれば今年度から実施される給付型奨学金ができることに触れていないと指摘されるだろう。