437アダム・スミス著(大河内一男監訳)『国富論I・II』

I:書誌情報:中公クラシックス(W59),449頁,本体価格2,000円,2010年1月10日発行
II:書誌情報:中公クラシックス(W60),397頁,本体価格1,800円,2010年1月10日発行

国富論〈1〉 (中公クラシックス)

国富論〈1〉 (中公クラシックス)

国富論〈2〉 (中公クラシックス)

国富論〈2〉 (中公クラシックス)

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中公版『国富論』(文庫版と上製本版あり:下記エントリー参照)が中公クラシックス版になった。全4巻のうち,第1篇を I に,第2篇・第3篇・第4篇(第3章まで)を II に収め,続篇で第4篇(第4章以降)・第5篇(第1章第3節の途中)を III に,第5篇(第1章第3節途中から)を IV に収めるようだ。
手にした2巻本には,既刊中公版『国富論』との関係については一切記載がない。特徴のあった独自の訳注はそのまま生かし,既刊本にあった訳者による写真などを省いているようだ。中公クラシックス版には堂目卓生「人間研究の上に立つ経済学」(24頁)が冒頭にある。堂目論は「『道徳感情論』で示されるスミスの人間観と社会観が受けつがれている」(21ページ)・「スミスの独創性は,普遍的な人間本性の研究の上に経済学の体系を確立したこと」(22ページ)とする理解に特徴がある(下記エントリー参照)。
中公版『国富論』・堂目中公新書本・中公クラシック版と中公がらみで堂目稿があるのは不思議ではないが,本邦初訳でないわけだから,中公クラシックス版の書誌情報もあってしかるべきだろう。