書誌情報:中公新書(2282),243頁,本体価格820円,2014年8月25日発行

- 作者:増田 寛也
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: 新書
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出生率・出生数の経年変化からこのまま推移すれば日本の人口が萎んでしまうと言われ続けてきた。このままでは896の自治体が消滅しかねないとする「増田レポート」(消滅可能性都市」と本書の内容は,人口一般ではなく,20歳〜39歳の女性人口に焦点を当ててわれわれが暮らす自治体に問題を落とし込んだところに意味がある。人口減少から人口急減へ,そして大都市圏にのみ集中してしまう「極点社会」という最悪のシナリオを描きつつ,そうならないための方策をも提言している。
高等教育については,Eエデュケーションの推進,地方への大学・研究機関の誘致,地方大学の機能強化(合併などによる再編強化と人材育成・投資)を挙げていた。また,若年女性人口増加率の高い市区町村を,産業誘致型,ベッドタウン型,学園都市型,コンパクトシティ型,公共財主導型,産業開発型に分けて紹介している。
人口急減から「極点社会」に行く前の人口減少を前提にした社会に希望がないわけではない。人口減少現象に楽観はできないが,悲観も禁物。冷静にデータを見て,解説にひとまず耳を傾けるべき新書だ。
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