1732棟方有宗・北川忠生・小林牧人編著『日本の野生メダカを守る——正しく知って正しく守る——』

書誌情報:生物研究社,150頁,本体価格2,800円,2020年10月8日発行

いまメダカといえば観賞魚として身近な存在である。その飼育品種が河川に放流され,野生メダカと飼育品種の交雑による遺伝的攪乱という問題が各地で生じているともいう。
野生メダカは田園や小川の消失によって絶対数を減らし絶滅危惧種になっていることから,野生メダカの保全活動の重要性が増している。本書は,野生メダカの保全のための観察(調査・解析),実験,啓発,実務についてまとめており,野生生物の保全の一端をしることができる。
シーボルトは日本滞在中数多くの魚類も収集し,そのなかには6個体のメダカも含まれている。長崎周辺から江戸参府の途中で立ち寄った佐賀県嬉野市武雄市周辺のミナミメダカといい,「夏場の流れが穏やかな水田に普通にたくさん見られる」と記述されているという(コラム11)。
メダカの学校はやはり水槽より小さな川がふさわしい。