1183稲村光郎著『ごみと日本人――衛生・勤倹・リサイクルからみる近代史――』

書誌情報:ミネルヴァ書房,xii+317+7頁,本体価格2,200円,2015年6月15日発行

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ごみとリサイクルからみた日本近代史(開国から敗戦まで)は意外にも養蚕屑物輸出,ボロによる洋紙生産,鉄鋼減量だった鉄屑,ゴミの肥料化など近代日本経済社会と深く関係していた。ごみと衛生,貧困,統制経済化の町内会・隣組と著者が描いた日本近代史は歴史の裏通りながら避けては通れない。
奇しくも著者は元東京都職員である(清掃局・下水道局・環境局)。豊洲市場の「盛り土」問題(=土壌汚染対策工事)からあらためて本書を繙いてもいいだろう。ちなみに,豊洲市場の「盛り土」は「仮設土壌処理プラントで処理された土壌(処理済み土)等」で埋め戻すのだ(東京都中央卸売市場豊洲市場土壌汚染対策工事の進捗」→http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/dojou/taisaku/progress/)。「現状地盤面からガス工場操業時の地盤面までの盛土は,すべて掘削します」と謳っていたにもかかわらず掘削していない箇所が見つかった。掘削した土壌(「等」とあるが)の再利用が「盛り土」である。