833モーナ・E・グレゴリー/シアン・ジェームズ著(清宮真理訳)『世界の変なトイレ』

書誌情報:エクスナレッジ,256頁,本体価格1,600円,2013年2月28日発行

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御不浄,日本橋,はばかり,雪隠,厠,手水,後架,お手洗い,録音,化粧室,トイレ,W.C,ラバトリー,便所,レストルーム,花摘みなどと日本語のトイレ用語は豊富だ。英語でも Loo, john, dunny, privy, bathroom, lavatory, outhouse, WC, longdrop, commodities, powder-room, crapper, throne, porcelain god, washroom, toilet, can, urinal, facilities, pisser, comfort station, head, water-closet, little boys' room, shitter, pot, nettie, bog などと多くの呼称を持つという(「序文」から)。
カナダ・アルバータ州の厩舎の馬糞掃除で知り合ったというカナダ人女性二人による痛快世界トイレ探訪記である。豚がトイレ掃除をするインド,トイレだけが並ぶ一帯がある南アフリカ,純金製のトイレがある香港(ちなみに小豆島寒霞渓ロープウェイ山頂駅には1億円をかけたトイレがある),高床式トイレが多いパナマ,トイレットペーパーを使わないトルコ,しゃがみこんでコトをなすフランスとコスタリカ,水を流さないブラジル,ボタンが8個もついている日本,地下から突然小便器が現れるロンドン,スペースシャトルの中の人間パテと話題性があるトイレだけではない。むしろ日々の営みで不可欠の身近なトイレを,プロカメラウーメンであるシアンの「キレイな」写真で紹介している。
日本のトイレはボタンが8個もついているトイレのように「テクノロジー先進国」としてのほか(汐留シオサイト:「至れり尽くせりの幸福体験」であり「次回訪問が待ち望まれる」そうだ),長野・山ノ内町の魚敏旅館(トイレ用スリッパに履き替える),銀座通り入口にある交番横のトイレ(世界一安全なトイレ)がある。さらに新宿・青龍門新宿店天と地のトイレが「世界一愉快なトイレ」として4ページにわたって紹介され本書を閉じている。
日本の各地を巡ってもおそらく多様なトイレ事情があるはずだ。たしかにトイレは「人類文明における最も生々しく素直な語り部」である。トイレに行きたくなった? 行っトイレ!
ウェブでも本書の一部が紹介されていた(→http://toiletsoftheworldbook.com)。