973小倉孝誠著『革命と反動の図像学――1848年,メディアと風景――』

書誌情報:白水社,274+20頁,本体価格2,400円,2014年1月15日発行

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1848年前後のフランスにおけるメディアと風景描写(山,庭,都市(パリ))はあくまでも前奏にすぎない。著者の狙いは二月革命とその後の推移(クーデタと第二帝政の樹立)をマルクス(『ルイ・ボナパルトのブリューメール十八日』1852年)と違った見方を示したフロベール感情教育』(1869年)の解読にある。
ショパンとの交遊でも知られるジョルジュ・サンド,「社会主義 socialisme 」の創案者であるピエール・ルルー,サン=シモン,プルードンらを含む思想潮流を咀嚼したフロベールは,「二月革命前後の時代において,政治と,社会思想と,キリスト教は分かちがたく繋がっていた」(228ページ)ことに苛立ったというのだ。「二月革命の実現は,イデオロギー的には社会主義に多くを負っていたとはいえ,このイデオロギーの構成要素たる宗教性ゆえに流産する運命にあった」(230ページ)。
フロベールを介して社会主義と宗教性との癒着を確認し,「1848年の革命が十九世紀に勃発したさまざまな革命のなかで唯一,反教権的でなかった革命」(262ページ)を摘出していた。マルクスを知らなかったフロベールを代表とする19世紀中葉のイデオロギー状況をフランス革命二月革命への言説から読み取る図像は,たしかに二月革命論,社会主義論に連なっていた。