1103洋泉社MOOK『経済の教科書』

書誌情報:洋泉社,111頁,本体価格1,200円,2015年6月7日発行

経済の教科書 (洋泉社MOOK)

経済の教科書 (洋泉社MOOK)

  • 発売日: 2015/05/07
  • メディア: ムック

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経済成長と格差を主題とした特別授業2講(若田部昌澄),アベノミクスやTPPなど現在の諸問題をテーマ別に論じた10講(飯田泰之)と経済学の歴史を概括した9講(松尾匡)からなり,経済学の考え方を分かりやすく解説しようと意図は感じた。
格差や貧困をなくすためには経済成長が必要だという若田部と原発撤廃(再生可能エネルギー利用)を別とすればアベノミクスを補強する飯田の主張に編集の力点があり,経済学の歴史から論点を整理しつつときおり牽制球を放る松尾の言及は霞む構成になっていた。
「遅れをとっている日本は,先行している国のいいところを取り入れ,まねして追いつけばいい」(若田部,11ページ)とは追いつけ追い越せのキャッチアップ型経済成長を意味するのだろうし,「これまで日本は地方のすみずみまで目配りする,均衡ある国土の発展をめざしてきた」(飯田,45ページ)とは地方中核都市以外の地方消滅肯定なのだろう。
ムック本である本書には「講師」の3人のほか執筆者に4人の名があった。何を書いたのだろうか。