1399池畑修平著『韓国 内なる分断——葛藤する政治，疲弊する国民——』

書誌情報：平凡社新書（917），260頁，本体価格880円，2019年7月12日発行

韓国 内なる分断: 葛藤する政治、疲弊する国民 (平凡社新書)

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在日米軍基地を無くすという運動は安保や地位協定に位置づけた反対の立場があり，日々の騒音問題や安全確保の立場からの反対もありうる。両者は在日米軍基地を無くすという一致点があっても「反米」か否かという点では必ずしも同じではない。これと同じように昨今の韓国の「反日」をすべて「反日」と呼称すると韓国の姿を見誤ってしまう。

本書のキーワードは韓国国内での保守派と進歩派の激しい潰し合い「南南葛藤」と呼ばれる国内分断である。「帝王的大統領」である韓国の大統領となれば，革命と称して保守派は進歩派を，進歩派は保守派を徹底して潰す。全斗煥，盧泰愚，金大中，盧武鉉，李明博，朴槿恵，文在寅と続いてきたここ40年の歴史における左右の振幅をみるとなるほどと思わざるをえない。

朴槿恵と文在寅政権を中心に朝鮮半島分断と「南南葛藤」の歴史と現在を特徴づけた著者の卓見は韓国現代政治史の一端に確実に触れている。「文政権が「反日」というわけではないのだ。ただひとえに，革命を目指すが如く，保守派政権の実績に対する全否定の渦の中に日本への外交面での配慮は飲み込まれて消え，両国の関係は取り返しのつかないほど壊れてしまっている」（154-5ページ）。

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