522土屋竜一著『日本でいちばん働きやすい会社』

書誌情報:中経出版,221頁,本体価格1,400円,2010年2月1日発行

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著者はデュシェンヌ型筋ジストロフィーという進行性の難病にかかっている。人工呼吸器を装着し,指一本のパソコン操作で在宅勤務を続けている。その著者が勤務する会社が障害のある在宅勤務チーム・OKIネットワーカーズである。沖電気工業株式会社(OKI)の社会貢献推進室という一民間会社の一社会貢献事業としてはじまったものだ。現在はOKIの特例子会社・OKIワークウェルとなっている。
著者をはじめ働く意志とスキルをもった障害者は多いはずだ。情報処理スキルをもった重度身体障害者で在宅勤務が条件という会社の条件は一般化できないだろうし,1日6時間・時給790円では障害基礎年金や特別障害者手当なしでは飯が食えないのも事実だ。
厚労省の報告によれば(2008年6月1日現在),民間企業に雇用されている障害者は約328万5000人,そのうち特例子会社に雇用されている障害者は12万弱,特例子会社の認定を受けている企業は242社という。企業は障害者雇用促進法によって障害者法定雇用率を達成する義務がある。特例子会社は障害者を専門に雇用する会社のことで,親会社の障害者法定雇用率をあげるために生み出された制度だ。一年更新の契約制,時給制(賞与あり)など課題は多い。
それでもみずからを「チャレンジド」(挑戦することを使命とするという意味)と呼ぶ著者たちの「がんばらない,あきらめない」(鎌田實の言葉),「身体が一番,仕事が二番」と働く機会を模索してきた体験は企業・組織や健常者(=障害者予備軍)への大きな問題提起だ。