1298文京洙著『済州島四・三事件――「島(タムナ)のくに」の死と再生の物語――』

書誌情報:岩波現代文庫(学術377),viii+258+20頁,本体価格1,300円,2018年2月16日発行

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平凡社発行の単行本(2008年4月発行)に「白碑に何を刻むか――現代文庫版あとがきにかえて――」(20ページ)を追加しており,70年経った「事件」の現代的意味を問うていた。
「済州四・三事件真相糾明および犠牲者名誉回復に関する特別法」(2000年1月12日公布,5月10日施行)で「誰であれ済州四・三事件に関して自由に発言することができる」(第5条第1項)と規定されていることからもわかるように,1948年4月3日に済州島で起きた130余村が焼かれ,3万人の島民が犠牲となった「事件」は,朝鮮半島における戦後処理問題と分断国家建国をめぐる国内抗争の焦点と位置づけられてはいるが,「事件」を語ることは韓国では長らくタブーとなっていた。
「特別法」制定にいたる道程とその後の展開をみれば,現代韓国史をなぞることができるほど「事件」の射程は長い。