043中尾茂夫著『トライアングル資本主義』

書誌情報：東洋経済新報社，xx+329頁，本体価格2,200円，2006年9月28日

トライアングル資本主義

• -

アメリカを頂点とした世界経済の構図から，日米亜（日本・アメリカ・アジア）というトライアングル型による世界経済の構築を提言する書物だ。世界経済の頂点に立つアメリカへの批判と世界経済の中で力を増しつつある中国を先頭としたアジアの実態を踏まえた議論ともいえよう。なかでも中心のポイントは，アメリカ追随の経済政策からアジアにもひとしく配慮した政策転換を主張したこと。
EUについて触れていないではないかと茶々を入れることはしないでおこう。日本のとるべき道は，第二のEUを目指し，東アジア共同体の中心として指導力を発揮するとしているからだ。アジア志向の「福岡モデル」はモデルたり得るのかいささか疑問無しとしないが，アジア重視の外交政策と経済政策の提唱は傾聴に値する。