070猪瀬直樹著『作家の誕生』

書誌情報:朝日新書048,244頁,本体価格720円,2007年6月30日

作家の誕生 (朝日新書48)

作家の誕生 (朝日新書48)

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先行の作家評伝三部作と菊池寛論(三島由紀夫→『ペルソナ』,川端康成大宅壮一→『マガジン青春譜』,太宰治→『ピカレスク』,菊池寛→『こころの王国』)を受けて,筆一本で身を立てる作家という職業の成立史を描く。ほかにも尾崎紅葉田山花袋,滝田樗陰,森田草平夏目漱石菊池寛島田清次郎賀川豊彦森鴎外横光利一小林多喜二芥川龍之介檀一雄などが登場する。田山花袋による私小説の成立(=作家としての職業の成立)から著者の20代前半にあたる1970年の三島の自決(=大きな物語の消滅=作家という職業の終焉)までの作家や文芸誌・総合誌さらには文学全集も対象だ。
生活する作家,有名になろうとする作家の悪戦苦闘を描くことで,市場社会に生きるわれわれと同じ人間であることを示す。作家が徹底して相対化されているといえる。たかが作家,されど作家・・・。