書誌情報:朝日新書048,244頁,本体価格720円,2007年6月30日
- 作者: 猪瀬直樹
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/06/13
- メディア: 新書
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先行の作家評伝三部作と菊池寛論(三島由紀夫→『ペルソナ』,川端康成・大宅壮一→『マガジン青春譜』,太宰治→『ピカレスク』,菊池寛→『こころの王国』)を受けて,筆一本で身を立てる作家という職業の成立史を描く。ほかにも尾崎紅葉,田山花袋,滝田樗陰,森田草平,夏目漱石,菊池寛,島田清次郎,賀川豊彦,森鴎外,横光利一,小林多喜二,芥川龍之介,檀一雄などが登場する。田山花袋による私小説の成立(=作家としての職業の成立)から著者の20代前半にあたる1970年の三島の自決(=大きな物語の消滅=作家という職業の終焉)までの作家や文芸誌・総合誌さらには文学全集も対象だ。
生活する作家,有名になろうとする作家の悪戦苦闘を描くことで,市場社会に生きるわれわれと同じ人間であることを示す。作家が徹底して相対化されているといえる。たかが作家,されど作家・・・。