1228飯田泰之・木下斉・川崎一泰・入山章夫・林直樹・熊谷俊人著『地域再生の失敗学』

書誌情報:光文社新書(812),301頁,本体価格840円,2016年4月20日発行

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これまでの地域振興策は国や自治体主体によったがために「失敗」した,民間主導で地域経済を再生しよう。これがタイトルに込められている。
稼げるまちづくり,官民連携,地域経済,過疎の「自主再建型移転」,千葉市の取組について飯田が導入の議論を展開したあと木下,川崎,入山,林,熊谷の講義と飯田との対談で構成されている。飯田の地域活性化のためには地方聴覚都市への「集中・集積」論にはかならずしも同期してはいないが,地域活性化のポイントはいくつかあった。「地域の皆の意見を積み上げて合意するワークショップを行い,競争環境を無視した活性化効果なんか見込めないような事業に何千万円という税金をつぎ込んでいる」(木下,47ページ)や林の「種火集落」論(増田レポートへの批判点でもある)は再考してしかるべき問題提起である。ただ商品を並べているだけの商店が集まる中心市街地の商店街に人は行かないのだ(川崎)。
遊びのもつ経済的効果の延長でカジノ肯定(飯田,入山)はいただけない。「ホテルの部屋でウノでもやるしかない」(174ページ)ほうがよっぽどいい。