書誌情報:中公新書(2333),vii+183頁,本体価格740円,2015年8月15日発行
- 作者:増田 寛也
- 発売日: 2015/08/24
- メディア: 新書
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増田の「選択と集中」論と冨山の「生産性」論で地方消滅論に「最終決着」(表紙の惹句)とはとうてい思えない。冨山の「美しい里山のなかで循環して経済が回っていくという話は,日本の地方全体の話としては無理」(35ページ),「強気を助け,弱気を退かせる」(54ページ),地方大学の「とにかくダメなのは文系」(75ページ),ローカル大学にビジネスマンを入れろと「選択と集中」が結局誰のためのものか雄弁にものがたっている。
「アダム・スミスが『国富論』(『諸国民の富』)で喝破したとおり,域外経済とお互いに優位性のある財を自由に交易することこそが,それぞれの国民を豊かにする」(21ページ)とは初めて聞いた。
「地方が自らの地域に誇りを持ち,独自の文化を築くこと,そうした自立した地域が連携・協力していくことで,魅力ある日本にしていくことが,地方創生の道でもある」(増田,viiページ)・「地域の大学が核になって,地域が本当に求めているニーズを汲み取り,解決する仕組みをつくること」(156ページ)というがこれ自体は「生産性」論とは結びつかないはずだった。「選択と集中」論の正体見たり「生産性」。
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