615新保芳栄著『実務者からみた金融機関行動と不良債権問題』

書誌情報:八朔社,ix+182+4頁,本体価格1,800円,2006年2月25日

実務者からみた金融機関行動と不良債権問題

実務者からみた金融機関行動と不良債権問題

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著者は,80年代後半以降日本銀行考査局,預金保険機構整理回収機構での実務経験をもつ。不良債権問題の発生とその処理過程は,バブルの下での土地と株式に依存した融資集中への反省と市場型間接金融への転換に生かされているという。
銀行業の将来を銀行へのリスク集中回避にみて,資産担保証券化,貸出債権売買,シンジケート・ローン貸出,金融コングロマリット化の現状を肯定的に評価し,地域金融機関の統合リスク管理の必要性を強調している。
金融資本論メガバンク論,日本銀行論はないが,統合リスク管理と経営の収益性・効率性の向上という実務家視点が貫かれている。「攻めのリスク管理」論と銀行再生論には実務経験が十分に生かされている。