663堀口茉純著『TOKUGAWA 15――徳川将軍15人の歴史がDEEPにわかる本――』

書誌情報:草思社,239頁,本体価格1,200円,2011年9月30日発行

TOKUGAWA 15(フィフティーン)  徳川将軍15人の歴史がDEEPにわかる本

TOKUGAWA 15(フィフティーン) 徳川将軍15人の歴史がDEEPにわかる本

  • 作者:堀口茉純
  • 発売日: 2011/09/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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江戸文化歴史検定1級最年少取得し,「江戸に詳しすぎるタレント=お江戸ル(お江戸のアイドル)」とプロフィールにあった。徳川将軍15人をイラストと文章で解説し,江戸時代を通観している。幼名,在職期間,享年,死因のほか,実子と側室数やあだ名など徳川将軍の表と裏を集めている。
トラウマ将軍・家康,ストレス将軍・秀忠,ナイーブ将軍・家光,イエスマン将軍・家綱,ヤリスギ将軍・綱吉,下積み将軍・家宣,エンジェル将軍・家継,超(スーパー)ラッキー将軍・吉宗,Mr. ロンリーナイト将軍・家重,エリート将軍・家治,ビッグダディ将軍・家斉,飼い殺し将軍・家慶,暗寓(時々正論)・家定,スイーツ将軍・家茂,インテリ将軍・慶喜(以上,堀口をもじった「ホーリー的結論」から)といかに読んでもらえるかサービス精神に溢れている。将軍史観と割り切り,江戸時代にタイムスリップするにはいい。
人物とエピソードからみた徳川将軍論なので,歴史の躍動感や徳川支配下の農民・町民・商人らの息吹を感じることはなかったものの,歴女の猛勉強ぶりは伝わってきた。家康(狸爺),秀忠(恐妻家),家光(男色&鬱),家綱(左様せい様),綱吉(犬公方),家宣(猫背),家継(最年少),吉宗(米将軍),家重(小便公方),家治(おおらか),家斉(絶倫),家慶(そうせぇ公),家定(料理男子),家茂(虫歯30本),慶喜(豚一様)との将軍の特徴づけからはかえって幕藩体制を支えた無名の幕臣たち(有名人については触れられている)の駆け引きをいろいろ想像できた。
家宣の基本データに父・綱重(家光の3男)とあり,概歴には次男とある。おそらく次男のまちがいだろう。