076第3回三輪田米山展・図書館銘板

第3回三輪田米山展は,「少字数書の造形」と題して米山作品中の一字あるいは数字の作品を選りすぐったものだ。米山の大胆さや奔放さがはっきりする。横広の扁額もある。
大学蔵の逸品「六曲一双屏風」は12枚を一連のまとまりとして書いたものではなく,それぞれが違う表情をしている。「清心」「坐忘」「嘯月」「汲古」「篤雅」「無為」と「酔花」「高徳」「心酔」「好古」「飲楽」「有終」の文字が力強い線と立体的な空間によって表現されている。

愛媛大学図書館の正式名称は「附属図書館」ではなく「図書館」である。2004年4月に法人化された時に名称を変えたのだった。図書館の入口脇にある銘板はそれ以降も「附属図書館」のままになっていた。昨日ようやく「図書館」の銘板にする除幕式があった。

題字は篆刻家・河野晶苑(こうの・しょうえん)の作品である。晶苑は女性篆刻家としては最初期の方で,愛媛県に縁がある(→http://www.shoen-tenkoku.com)。詳しい経緯は不明だが,図書館の木額を愛媛大学に残してくれていた。銘板はこの木額からのものだ。晶苑の蔵書類は愛媛大学図書館に「河野晶苑文庫」として寄贈されている。5年前には「篆刻家 河野晶苑の世界」遺作展を開いたこともある(→http://www.ehime-u.ac.jp/whatsnew/1767/1767.html)。
晶苑は百壷斎として急須のコレクションも知られているそうだ。愛知県陶磁資料館ではコレクション281点のうちの100点の展示もあった(→http://www.pref.aichi.jp/touji/002_2011s_exh/002_2011s_exh_kyusu/002_2011s_exh_kyusu.html)。
米山といい晶苑といい,評者の前にはなんとも魅力的な人物がいる。