書誌情報:『エレガンス・イブ』2013年2月号(秋田書店),80頁,本体価格619円,2012年12月26日発行
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「坊っちゃん劇場」(→http://www.botchan.co.jp)で上映中のミュージカルをコミックにしたもので,3カ月集中連載の第一幕である(第二幕3月号,第三幕4月号)。堂々巻頭カラーで第一幕が始まった。
「幕末ガール」は日本初の産科女医「楠本イネ」*1が主人公で,2006年に開場した「坊っちゃん劇場」の第7作目である。地方都市での常設ミュージカルは不可能と言われていた。いまや「坊っちゃん劇場」は「奇跡の劇場」と言われている。第6作までで計1626回の公演で約46万人を動員した。とはいえ年10万人の来場が採算ラインで毎年5000〜6000万円の赤字だそうだ。地元の食肉加工販売のビージョイグループと秋田・田沢湖に本拠を置く「わらび座」が共同出資してジョイ・アートを設立して開場した。昨年上演した「誓いのコイン」はロシア公演(モスクワとオレンブルグ)も実現した。
さて,80ページの第一幕は二宮敬作や村田蔵六(のちの大村益次郎)らが登場し,「オランダおイネ」が江戸での産科医をやめて「維新丸」に乗船して宇和島に「帰郷」する現在シーンと長崎,愛媛・卯之町での「修業」とを絡ませている。長崎での村田蔵六との出会いと彼の蒸気船新造への夢とイネの夢とをダブらせる。
その後の飯舘村をテーマにした「大反響作品」(石塚夢見『続・ほんの森でまってる――その後の原発避難区域・飯舘村――』)も今月号に掲載されている。大人の女性向け月刊コミック誌はおじさんにも楽しくかつシリアスに読めた。
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*1:司馬遼太郎『花神(上・中・下)』(新潮文庫;[isbn:9784101152172]・[isbn:9784101152196]・[isbn:9784101152189])と吉村昭『ふぉん・しいほるとの娘(上・下)』(新潮文庫;[isbn:9784101117317]・[isbn:9784101117324])は記憶に残る「イネ本」だ。テレビでは『オランダおいね ポーラテレビ小説』(TBS,1970年),『NHK大河ドラマ 花神』(NHK,1977年),『おいね 父の名はシーボルト』(NHK,2000年,市川森一脚本)が知られている。