821二宮厚美著『橋下主義解体新書』

書誌情報:高文研,359頁,本体価格2,800円,2013年1月30日発行

橋下主義解体新書

橋下主義解体新書

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ファシズムが最終的に破綻したように,ハシズムも破綻する。著者の見立てによればその破綻は近い。そんな「つるべ落としの落日」を展望して書き下ろした本書はとことんハシズム批判に向けられている。自治体民主主義への独裁,憲法蹂躙の暴政,大阪都構想の虚構,新自由主義的な反動をこれでもかと追求する。ジェンダー,格差,公務労働論,新福祉国家論を新自由主義に対峙させて論じてきた著者の問題意識は,独裁と市場主義を特徴とするハシズム批判に徹底している。
ハシズムを「現代日本の略奪型競争社会が産み落とした競争主義,独裁主義,勝利市場主義の異常性を宿した人物,得意な「人間」」(70ページ)とするだけでなく,「資本主義が腹話術を弄して人形役の橋下に語らせたのが,独裁方式であり,市場方式」(110ページ)としてハシズムを抉っている。「一方での橋下に固有な体質に根ざす独裁的競争至上主義と,他方での急進的・反動的新自由主義とが互いに結びついたイデオロギー」(286ページ)という「奇妙な両生類的性格」(同上)の指摘こそ著者の解体新書の核心である。
ハシズムと揶揄されながら大阪府知事大阪市長,維新の会と注目される存在になっている理由を分権化論に与してしまっている政治・マスコミ状況と大統領型ブレーン政治待望論にあるとし,「石橋渡る」派(石原・橋下・渡辺のこと:引用者注,著者らしい卓越したネーミング)が結集する反動性の解明は見事である。
ハシズムの「解剖・分解」から「壊滅・崩壊」への展望へ。「橋下主義は橋下主義のゆえに崩壊・滅亡の道に向かう」(358ページ)かどうかはかならずしも楽観できない。大阪市民のみならずわれわれ国民の選択による。