1279二宮厚美著『終活期の安倍政権――ポスト・アベ政治へのプレリュード――』

書誌情報:新日本出版社,396頁,本体価格2,300円,2017年11月20日発売

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アベ政権の異常性をアベノーマル,トランプのペットとしてトランペット安倍,靖国史観に見られる時代錯誤性をアベクロニズム,アベノミクスの本末転倒性をアベコベミクスと断じ,安倍政権のゆえに亡び,自ら墓穴を掘るとした本である。形容とは別にアベコベミクスをはじめ安倍政権の分析は本格的である。
安倍首相は本書でも指摘しているように三度啖呵をきった。南スーダン自衛隊PKO部隊派遣に際して死傷者が出た場合,森友学園への首相本人と妻の関与が明らかになった場合,加計学園獣医学部新設への首相への関与の場合だった。「「安倍劇場」の演出に「安倍官邸」が手を加え,無理をごり押しして道理を引っ込め,反則に反則を重ねて,ピンチをしのいできた」(17ページ)。
安倍政権の終活を準備し,鋭い対決関係に入るのは国民のコミュニケーション的理性であり,政治的主体としては野党共闘市民連合である。「いま・ここ主義」による無責任,なし崩し的変化,大勢順応主義の安倍政権は,橋下主義と同様,著者によって最後通告を宣告された。