848二宮厚美著『安倍政権の末路――アベノミクス批判――』

書誌情報:旬報社,156頁,本体価格1,200円,2013年7月10日発行

安倍政権の末路 アベノミクス批判

安倍政権の末路 アベノミクス批判

  • 作者:二宮厚美
  • 発売日: 2013/07/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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明日の参議院選挙の投票結果は,消費税増税原発再稼働,TPP参加を曖昧にしたままの「アベノミクス」への期待を集めたものになるだろう。選挙前に刊行された本書だが,それゆえ安倍政権を見極めるためには選挙後にこそ読まれるべき一書になる。
アベノミクスの第1の矢(量的金融緩和策)はバブルをもたらし的に届かない。第2の矢(機動的財政出動)は財政悪化を招き的をかすめるにとどまる。第3の矢(成長戦略)はさらに企業天国を呼び込み的を外れる。かりに的を射ったとしてもその先に第4の矢(消費増税)と第5の矢(社会保障構造改革)という隠し矢をしのばせている。「アベノミクスの3本の矢は,一言でいえば「税・社会保障一体改革」の徹底に向けた第4・第5の矢に引き継がれる」(120ページ)のだ。著者の放つ安倍政権への矢は的を的確に射ている。
消費税,原発,TPPが真の争点になったとき,「安倍政権と民意のあいだのネジレ」は深刻化する。この見通しもおそらく間違っていない。