書誌情報:八朔社,133頁,本体価格1,800円,2013年9月5日発行
ISBNが違うのかこの本が出てくる。- -
金融機関で実際にリスク管理の実務を経験した著者による第2作目である(関連エントリー参照)。また,本書第1章収録論考については簡単に触れたことがある(関連エントリー参照)。
金融庁「金融検査マニュアル」に明記されている信用リスク,市場リスク,流動性リスク,オペレーショナル・リスクにたいして金融機関がどう対応すべきかを整理し,統合的なリスク管理の重要性を指摘している。金融機関の規模や特性によってリスクへの対応が異なるとはいえ,信用リスク(信用供与先の財務状況の悪化等により,資産価値が減少ないし消失し,損失を被るリスク)が「金融機関の本源的業務に係るものであり,依然として最も基本的かつ重要な位置付け」(48ページ)であることがわかる。
内部監査態勢強化の重要性についての章をおいているのは実務経験者の勘所にちがいない。
某銀行の反社会的勢力への融資問題はオペレーショナル・リスク中の事務リスク(役職員が正確な事務を怠る,あるいは事故・不正等を起こすことにより金融機関が損失を被るリスク)にあたりそうだ。「オペリスクが顕在化した場合,(中略)マグニチュードは極めて大きいとみられる」(108ページ)恰好の事例だろう。
- 関連エントリー
- 新保芳栄著『実務者からみた金融機関行動と不良債権問題』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110728/1311860940
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