1001『一生使える”算数力”は親が教えなさい』

書誌情報:マルコ社,125頁,本体価格1,000円,2014年7月27日発行

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家庭教師の経験からすると,中学・高校の数学の躓きは小学校に遡る。数字や計算の意味,公式の成り立ちがわかり,問題を図示できればほぼ対応できるはずだ。
ひところ話題になった百ます計算は集中力と計算力に効果があると言われる。早く正確に計算できるようになることによって算数への興味と関心を高める効果もあるだろう。算盤も同じかもしれない。
本書は,中学受験用ではなく小学校の基礎的な算数力を親がこどもに教えるためのテキストである。小学校外の学習を塾に任せるのではなく,家族で一緒に取り組もうというメッセージでもある。俗に言う「勉強」嫌いは「勉強」の仕方がわからず,強いられた学びになっていることが多い。
小学校で習う算数の内容が単元毎(小数の計算,分数の計算,□を使った計算,平面図形,立体図形,倍数と約数,単位量あたりの大きさと平均,大きな数とがい数,割合,食塩水の濃度,比と比例・反比例,図形の合同と相似,図形の補助線,場合の数)に,ポイント・例・問題と整理してある。
力説している親むけの算数の効用はともあれ,小学生が問題の意味がわかり正解を導くことができた成功体験と達成感こそ一番の力である。小学生のこどもがいれば親力を発揮できるテキストになる。ずいぶん昔に小学生がいた親は孫に爺力・婆力を見せつけることができる。