222世界卓球選手権にみえる中国の世界戦略

2015年世界卓球選手権蘇州大会【個人戦】は中国・江蘇省蘇州で開かれる(2015.4.26-5.3)。日本選手の選考も確定している(選考経緯を含む選手およびエントリーリスト→http://www.jtta.or.jp/news/2015/15wttcjapan.pdf)。
ホスト国の中国からは驚くニュースが飛び込んできた。男子ダブルスに馬龍(Ma Long)がドイツのボル(Timo Boll)と,女子ダブルスに李暁霞(Li Xiaodan)がタイ選手と,混合ダブルスに許シン(Xu Xin)が韓国女子選手と,陳夢(Chen Meng)がフランス男子選手とそれぞれ国際ペアで出場するという(→http://tabletennista.com/2015/2/chinese-team-finalised-lineup-for-world-championships-videos/)。馬・ボルのペアについては ITTF のニュースでも報じられていた(→http://www.ittf.com/_front_page/ittf_full_story1.asp?ID=38770&Competition_ID=2503&)。ITTFが国際大会での国際ペアを2000年に禁じてから16年ぶりの復活であるとはいえ,蘇州大会では男女のダブルスでほかにも国際ペアが出場するのでこのこと自体は驚くことではない。
ペアの相手はドイツ,タイ,韓国,フランスである。日本卓球協会(JTTF)は選考基準で「代表選手の出場種目ならびにペアリングは強化本部で決定する」(→http://www.jtta.or.jp/topics/2015/15wttcselection.pdf)としており,日本選手同士のペアを前提としており最初から国際ペアの選択肢はなかったと読める。今回の中国の方針は中国政府との了承をえた中国卓球協会(CTTF)とITTFとの水面下での交渉があったものと推測される。
たかが一スポーツのペアリングとはいえ,全種目優勝もできる中国があえて国際ペア――シングルス,ダブルスとも一協会から出場できる選手数が決められているにもかかわらず――をエントリーする。ここにはCTTF(なかんずく中国政府)のなんらかの意図があると思う。中国でもっとも人気があり国技ともいってもいい卓球は中国では特別のスポーツだからである。