822柳瀬正夢論

鳥谷照雄「時代と対峙した表現者柳瀬正夢――松山の生んだ画家・俳人――」(近代史文庫『えひめ近代史研究』第69号,2015年10月,所収)を読んだ。
柳瀬正夢は絵画,デザイン,装幀,挿絵,漫画,似顔絵,ポスター,舞台装置,絵本,写真,俳句,小説,詩などを通して多彩な表現活動をした。本稿はこれまで触れられることが少なかった俳人・柳瀬蓼科(りょうか)――阿部里雪による俳号――に焦点を当てた柳瀬正夢論である。
鳥谷は,2013年から2014年にかけて北九州,鎌倉,松山で開催された「柳瀬正夢1900-1945」展(関連エントリー参照)で「俳人・柳瀬蓼科」を監修した。展示でも図録でも俳人としての表現者に光を当てていたのに,評者の視野狭窄をして柳瀬蓼科に無頓着にさせてしまっていたのだった。