1664鈴木エイト著『自民党の統一教会汚染——追跡3000日——』

書誌情報:小学館,318頁,本体価格1,600円,2022年10月1日発行

国民の批判が渦巻いているにもかかわらず,自民党統一教会との関係について調査をしようとしない理由はなぜか。その答えは調査をすれば自民党と政権がいかに統一教会と連んできたかが明らかになってしまうから。霊感商法や寄付などの法的整備をしているという一定の対応と国会議員などの説明責任という個人の問題にすり替えて,なんとか危機を脱したいという魂胆が見え見えである。
統一教会から「要注意人物」として指名手配され,全国の教団系施設に顔写真入り手配書が貼り出されたという著者の,自民党を蝕む統一教会汚染の実態を暴いた会心の単著である。安倍政権,菅政権,岸田政権を通じて政治家が統一教会と浅からぬ関係を結び,統一教会の権威付けや内部統制の手段,教化の箔付けに使われてきただけでなく,統一教会と関連団体をして,スパイ防止法制定,家庭教育支援法,青少年健全育成基本法などの法整備制定や憲法改正運動の下支えを担わせてきた。
安倍晋三は「自身の政治的野心とひきかえに(教団サイドと:引用者注)危険な取引」(24ページ)・「積極的に問題教団との関係を自身の駒として使ってきた」(296ページ)のだ。それでも「妻の安倍昭恵を巻き込んだ民間系ルートなどいくつかのルート,特に政界ルートが複数あった」(303ページ)ので,政治家と統一教会との関係が明るみに出たのは一端にすぎない。
命の危険を感じながら,安倍と統一教会との関係を執拗に追ってきた唯一のジャーナリストである著者への期待は大きい。
巻末所収の「旧統一教会関連団体と関係があった現職国会議員168人」,「安倍元首相銃撃事件後に各社報道などで発覚した「関係議員」」でも「汚染」の深刻さがわかる(いずれも圧倒的に自民党だが,立憲,民主,国民なども含まれている)。
自(自民党)創(創価学会)統(統一教会)連立政権はいま岐路にさしかかっている。