書誌情報:扶桑社新書(461),246頁,本体価格860円,2023年3月1日発行
本書のタイトルは「統一協会」である。著者のひとり小林は正式名称「世界基督教統一神霊協会」に由来する統一協会とし,教会ではないとの認識からである。他方,有田は表記にこだわらずに判断してきたという経緯から統一教会としている。本書での発言はそれぞれ「協会」と「教会」と使い分けている。
ふたりの主張の共通点は,統一協会(協会)は宗教を隠れ蓑したカルト集団であるのみならず外国(韓国)による「武器を用いない侵略」(「ステルス侵略」)であるということだ。統一協会(教会)が保守系政治家に深く食い込んできたことに触れ,「ステルス侵略」に加担しているわけだから「右派や保守はもっと憤ってしかるべき」(小林,301ページ)なのだ。
統一協会(教会)の支部ともいえる「原理研の活動は,近年,巧妙化している印象が強く,大学当局やメディアはもっと注意喚起するべき」(有田,53ページ)はもっともだ。評者は,文教政策のトップの大臣だった下村某と羽生田某とはともに統一協会(教会)とずぶずぶの関係があったことに重大性を感じている。
有田の「赤報隊事件」教団説は説得力がある。「警視庁公安部の捜査資料」をもっているという有田に,「統一協会の問題のまさに核心」(小林,146ページ)と言わせている。
『朝日新聞』では旧統一教会創始者の発言録を分析し,「文鮮明氏 自民への働きかけ訴え」と2面で特集していた(2023年4月27日付)。
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