1712『梅山窯のあゆみ』

書誌情報:株式会社梅野精陶所,459頁,非売品,2022年5月30日発行
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窯名は梅野窯から梅山窯,商号は梅野商会から梅野精陶所に変わった,現存する砥部焼の窯元のなかで最古にして最大の梅野精陶所・梅山窯(ばいざんがま)の140年誌である。

陶磁器製造業は通常なら「製陶」となるところ梅野の場合「精陶」なのは,三代目鶴市が「精」の字には「こまかいこと,極めて熟練すること,すぐれたもの,つとめ,励むこと」などの意味があることから決めたとのことである。

梅山窯開窯前後の陶業創始からの歴史や海外販売を含む砥部焼市場,砥部焼の技術,職人列伝,柳宗悦や富本憲吉など梅山窯ゆかりの人たちまで叙述されており,一大パノラマになっている。本文の下に関係する写真や資料を配し,梅山窯のみならず砥部焼の歴史が詰まっている。

もともと四代目梅野武之助が編纂していたものに追加訂正してなったのが本書である。監修されたのは三代目鶴市二女松子の長男・豊島吉博と「あとがき」にあった。梅野家のファミリーヒストリー,「一窯元の物語」は貴重な記録である。

柳とともに来松したバーナード・リーチ愛媛大学で講演したこと(1953年5月23日),濱田庄司(本書では浜田)の「伊万里も九谷も乱れているし,生かすことができれば,まあこれからと言えるのが会津本郷の石物と,四国の砥部などであろう」の『民藝』(1955年新年号)の言葉,富本憲吉の砥部焼初作「色絵四辨花飾壺」のこと,藤本能道との砥部焼との関わりなども武之助の文章から知った。

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