1679武蔵野美術大学民俗資料室編・加藤幸治監修『民具のデザイン図鑑——くらしの道具から読み解く造形の発想——』

書誌情報:誠文堂新光社,ページ数表記なし,本体価格2,200円,2022年10月16日発行

宮本常一の研究活動として始まった武蔵野美術大学民俗資料室所蔵の民具は9万点におよび,そのなかから「かたちと身体性」,「ユーモアと図案」,「見立てと表象」という横断的な造形の特徴や共通性から164点を選び出して写真と解説を加えている。
「舞い上がれ!」に出てきたバラモン凧には「子どもが喜ぶ玩具に鬼の表現が見られるのは,その恐ろしさを描くだけにとどまらず,それと戦う不屈のヒーローの存在を暗示しているからでしょう」(項目107)としている。
愛媛県からは宇和島地方で演じられる八ツ鹿踊りで使う鹿面が紹介され,「人々は神楽などの祭礼行事において仮面や仮装を身につけ,その動物に姿を変えるのである」(項目115)。
民具にはたしかに,実用から生まれた機能性だけでなく,「人々の日常から生まれる固有な造形=「ヴァナキュラーな造形」への想像力をかき立て」(「おわりに」)てくれる。