書誌情報:朝日出版社(idea ink 02),155頁,本体価格940円,2012年1月15日発行
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「自分たちが自ら主役となって,アイデアをカタチにしていくためのコミュニティづくり」をしている「グリーンズ(greenz.jp)」によるおもしろ本である。ソーシャルデザインとはヴィクター・パパネック(1927-1998)によるとあり,「社会的な課題の解決と同時に,新たな価値を創出する画期的な仕組みをつくること」(12ページ)。なんらかの仕組みを作ることが目標としてあり,「原因療法のアプローチ」(45ページ)を取る。
自分ごと,これから,行動,新しいあたりまえの4つの章に事例を紹介しいくつかのチップスでまとめている。日本と世界のソーシャルデザインの数々がこんなふうに紹介されている。評者が知っていたのはほんの数個だけだった。評者のソーシャルデザイン力はこれから磨く必要がある。
ニットブランド「ゴールデン・フック」,うわさによるアートイベント「八戸のうわさ」,公共空間での「ハッピー・アウトドア・ウエディング」,風船による「ありがとう」,タバコの替わりの「東京シャボン玉倶楽部」,制限速度を守った人への「スピード・カメラ・ロッタリー」,一枚チラシの宣伝,秋田のイケメン農家による「トラ男」,まちのお母さんによる「タウンキッチン」,マイカップによるポイントシェア「カルマ・カップ」,横浜寿町の「KOTOBUKI 選挙へ行こうキャンペーン」,素敵なメッセージを発信する「セイ・サムシング・ナイス」,自家発電型サッカーボール「ソケット」,アイデアを持ち寄る「ギブ・ア・ミニット」,石巻の復興プロジェクト「石巻 2.0」,ソーラーパネルを共同購入「1BOG」,読んでみたい記事に出資する「スポット・アス」,荒れ地を楽園にする「ゲリラ・ガーデニング」,新聞紙による「四万十川新聞バッグ」,ワンピースを着回してインドの貧困を救う「ユニフォーム・プロジェクト」。
われわれはどんなかたちであれ,多かれ少なかれ,程度の差はあれ,組織,地域,社会に参加しているはずだ。参加する take part in とは一部を担う,部署を守るということにほかならないからだ。そして何かをやる以上は楽しくなくっちゃ。「それぞれの持ち場で,それぞれにできること」(153ページ)をしようとの呼びかけには共感する。
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- レ・カオ・ダイ著(古川久雄訳)『ホーチミン・ルート従軍記――ある医師のベトナム戦争 1965-1973――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110402/1301755666
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- 黒木登志夫著『落下傘学長奮闘記――大学法人化の現場から――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090402/1238679775
- 現代経済思想研究会(第2回)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090402/1238636721
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- 梅垣邦胤著『経済システムと人間自然・土地自然』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080402/1207130981
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- 森岡孝二・川人博・鴨田哲郎著『これ以上,働けますか?――労働時間規制撤廃を考える――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070402/1175489919