732橘木俊詔著『三商大――東京・大阪・神戸――』

書誌情報:岩波書店,ix+233+4頁,本体価格2,600円,2012年2月22日発行

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「企業において営業・経理・管理などに従事する企業人」を輩出した,三商大(東京高商→東京商大→東京産業大学→東京商科大学一橋大学,大阪高商→大阪商大→大阪市立大学,神戸高商→神戸商業大→神戸大学)と三大高商(長崎高商→長崎大学経済学部,小樽高商→小樽商科大学,横浜高商→横浜国立大学経済学部・経営学部)の歴史を辿っている。一橋については「丹念に」,人材輩出についてはアメリカとヨーロッパのビジネススクールと比較することで「ていねいに」(「はしがき」v,viページ)描こうとした(評者が読んだ)橘木大学論第4弾となる。
「文科系の超名門校」(同上)一橋大学には3つの章を当て,「華麗な人材輩出力」を論じ,「マルクスをも包摂した大阪商大」,「ビジネス教育を重視した神戸商業大学」,「三大高商の輝き」とそれぞれ1章ずつの叙述逓減となる。
商法講習所から高商への設置事情を詳述し,企業人養成機関としての三商大と三大高商に焦点を絞り,各論を著名な校長・学長・教授と卒業生の個人に軸を据えている。
総合大学としての将来展望――横浜国大の横浜市大との,小樽商大の北海道大学とのあるいは室蘭工大や札幌医大との,大阪市立大学大阪府立大学との合併――はすぐにも与したくはないが,文科省「大学改革実行プラン」(2012年6月5日公表→http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/06/1321798.htm)と重なることは間違いない。