日経新聞「文化往来」欄が「愛媛の木造小学校保存活動,米財団から賞」と報じていた(10月23日付)。記事の内容に新しさはないのと肝心の建物の特徴について説明はないが,地方対象のニュースを扱ってくれるセンスがいい。日経はスポーツ欄の評論と文化欄――最近,評者のスクラップはこの文化欄のものが多い――が冴えている*1。
愛媛県八幡浜市にある日土(ひづち)小学校の木造校舎を保存・再生した建築家グループらが「2012年 ワールド・モニュメント財団(WMF)・ノール モダニズム賞」を受賞した。06年に創設された同賞は2年に1度,第1次大戦以降に建てられた世界のモダニズム建築の保存・継承活動に対して贈られる。過去2回は1920〜30年代の欧州の建築が選ばれており,アジアでは初受賞。50年代に日本の地方都市に完成した木造建築に光が当てられた意義も大きい。
WMF(65年創立,本部・ニューヨーク)は歴史的建造物の保護を目的とする非営利の民間団体。「ノール モダニズム賞」は建物の建築史的な重要性に加え,これを修復して次代へ伝える具体的な活動を顕彰する。「古くなった,時代に合わないといった理由で簡単に取り壊される。これはモダニズム建築が世界共通で直面する危機だ」とヘンリー・エンジー副理事長は賞創設の背景を話す。
日土小学校は八幡浜市職員だった松村正恒が設計。建築史家の鈴木博之氏ら6人と八幡浜市が生徒の保護者などの意見を取り入れ,09年に改修し,新校舎とつないで再生。「地域社会と連携し,保存のための創造的な解決法を見つけるよきモデルになる」(エンジー副理事長)と高い評価を得た。
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*1:朝日(→http://www.asahi.com/edu/news/OSK201210200069.html)と読売(→http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20121022-OYT8T01084.htm)も「教育」欄で詳しく報じている。