書誌情報:同友館,222頁,本体価格1,700円,2012年9月15日発行
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「「奉仕を先に利を後に…」といった「利他自利経営」を軸足に,温もりのある商品づくり,愛情あふれるサービスの提供,さらには,弱者への思いやりに満ちた,私たちの心に響くいい仕事をしている会社ばかり」(3ページ)である。
地域も業種もさまざまな会社であり,家族経営や会社組織であっても比較的小さい会社である。ブラック企業が蔓延る時代にあって,2011.3.11以降涙もろくなったおじさんはうるうるだった。登場する会社は,富士メガネ(札幌市),柳月(北海道音更町),ネイチャー(宇都宮市),サイボクハム(埼玉県日高市),辻谷工業(富士見市),イワコー(八潮市),亀田総合病院(鴨川市),久米繊維工業(墨田区),澤の屋旅館(台東区),福島屋(羽村市),日本理化学工業(川崎市),アールエフ(長野市),伊那食品工業(伊那市),杉山フルーツ(富士市),樹研工業(豊橋市),中村ブレイス(太田市),ハッピーおがわ(呉市),沖縄教育出版(那覇市)である。『日本でいちばん大切にしたい会社』の1と2に掲載されていた会社だ。
国連難民高等弁務官事務所の「ナンセン難民賞」を受賞した富士メガネ,640人の従業員中正規社員が7割を超える柳月,Tシャツを通じて文化活動を支援する久米繊維工業,創業以来ひとりの社員も解雇せず給料とボーナスを上げ続けてきた伊那食品工業(寒天メーカー),人口400人の町で義肢装具をつくる中村ブレイス(メセナアワード2010「メセナ大賞」受賞),障がい者比率が20%の健康食品会社・沖縄教育出版(出版事業から始まったためこの名前がある。DHC(大学翻訳センター)みたいなもの)などほんとに「大きな仕事」をしている。
日本理化学工業が最初に知的障がい者を雇用する
決断はあるお坊さんから聞いた話がきっかけだった。「幸福とは,①人に愛されること,②人にほめられること,③人の役に立つこと,④人から必要とされること。そのうちの②と③と④は,施設では得られないでしょう。この3つの幸福は,働くことによって得られるのです」(133ページ)。某坊は良いことを言うものだ。
本書は図書館向け書籍シリーズ『小さくても大きな日本の会社力』(全6巻,A4判上製40頁オールカラー・総ルビ,各巻本体価格2,800円)を再編集・一部加筆したものだ(福井洋傘(福井市),タニサケ(岐阜県池田町),五藤光学研究所(府中市),山下工業所(下松市),ハードロック工業(東大阪市),本多電子(豊橋市)は再登場していない)。東日本大震災の復興支援にもページを割いている。
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