書誌情報:つげ書房新社,203+xv頁,本体価格3,200円,2013年5月10日発行
- 作者:ダニエル ベンサイド
- 発売日: 2013/05/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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パリ「革命」の指導者でもあり,フランスの思想家・実践家による本書は,教条主義とは一線を画し批判的マルクス主義の立場である。資本の「悪行」を暴くモンタージュを描いたのはマルクスである,とする展開をもとに,その犯人像を宗教,社会,階級,党などで絞り込み,犯行現場・マネーロンダリング・山分け(『資本論』)を推定していく。
マルクスによって絞り込まれた犯人は今では「成人して地球全体に猛威をふるうソーシャル・キラー」(56ページ)にまで成長しているのだ。「凶悪な資本のプロファイラー」であるマルクスから何を学ぶのか。「マルクスの批判的メッセージに忠実であるということは,現代の万人の万人に対する競争と闘争の世界は修正によっては改められないこと,それを覆さなければならないこと,そして事態はかつてなく切迫していることを考え続けることだ」(198ページ)。
著者のマルクスの取説の要点は,「マルクスの現代性とは,資本そのものの現代性」・「彼の昨日の非現代性が今日の現代性」(191ページ)を読み取ることにある。身の回りの取説はやたら詳しく,肝心要がどこかわかりずらい。マルクス取説は簡単ではなかったが,マルクスを「考え続ける」意味に収斂させれば,取説としては合格点である。
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