858アダム・スミス作(バラエティ・アートワークス漫画)『まんがで読破 国富論』

書誌情報:イースト・プレス,190頁,本体価格552円,2011年12月10日発行

国富論 (まんがで読破 97)

国富論 (まんがで読破 97)

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島崎藤村作『破壊』,太宰治作『人間失格』を皮切りに毎月刊行してきた「まんがで読破」シリーズ(→http://www.eastpress.co.jp/manga/)は,帯の惹句に「おかげさまで300万部突破!!」とある。
「国民が富まずして国家の繁栄はありえないのです」との扉の口上から,アダム・スミス本人,架空の人物で毛織物産業を中心に投資するウェブスター父子(リチャードとエドウィン),エドウィンの指南を受けて工場経営に挑戦するビル・マクガヴァン,農民出身の工場労働者であるジョージ・ブレナンがと主人公である。
経済活動を重視したとしてスミスの時代と主張をまとめ,分業,資本,富(豊かさ),国家の項目で物語を展開させている。
重商主義とその政策に異を唱え,利己心を前提に同感と正義にもとづく経済活動の意味を問うスミスの主張をまとめている。
「原典との橋渡し」になればという編集者の思いには評者も「同感」だ。
表紙折り返しのスミスの紹介に,「(『国富論』:引用者注)その他の作品に『道徳感情論』『道徳情操論』等」とある。ん?,どちらも The Theory of Moral Sentiments の翻訳だよね。