『軍隊の対内的機能と関東大震災――明治・大正期の災害出動――』(日本経済評論社,[isbn:9784818824072])を上梓したばかりの,吉田律人「災害と軍隊」(日本経済評論社『評論』第203号,2016年4月)を読む。
これによれば衛戍条例改正(1919年3月)が契機になっていて,各衛戍地(陸軍所在地)単位で災害時の対応の詳細が定められたそうだ。同年8月の関東大水害や翌11年4月の吉原大火では大規模な救護活動があったとも。
軍隊が「暴力装置」であることはあの関東大震災時の朝鮮人,中国人,社会主義者の「虐殺」で論を俟たない。大日本帝国軍隊も「災害派遣」(自衛隊法第83条)規定がある現在の自衛隊も武力行使が目的であることに変わりはない。非常時の緊急事態条項の権限拡大問題も話題になるなか,国民の生命や財産を災害の脅威から守るためにも自衛隊は必要だとの意見には与しないが,軍隊の対内的機能としての災害対応を冷静に分析することは必要なことだ。
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