1240南直人著『<食>から読み解くドイツ近代史』

書誌情報:ミネルヴァ書房,v+262+34頁,本体価格3,500円,2015年3月31日発行

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ドイツの国民的食文化を代表するジャガイモが定着し消費されるまでには啓蒙や他の穀物との競合があった。また,コーヒーは消費を制限する時期も代用品でまかなっていた時期もあった。それがハンブルク貿易の進展によって国民的飲料になる。ミルクも輸送手段,流通システム,冷蔵・殺菌技術に寄って大衆的飲料になる。民衆レベルの食生活を再現している。食の歴史から見えてくるドイツ史は近代世界システムとも急激に進む都市化・工業化と深く結びついている。
国民国家を世界強国として統合するための家庭教育の重視,なかでも栄養学や食の科学と結びつき,公権力の正統性の担保として食品監視体制を整備する。
本書の対象範囲はとくに第二帝政期。食の世界を可視化し市民社会と国家との関係を「舌」から解こうとしていた。