428訃報・尾崎芳治先生

評者の恩師のおひとりである尾崎芳治先生(京都大学名誉教授)が9月17日に亡くなられた。1933年2月のお生まれで,京都大学経済学部と名城大学商学部で教鞭をとられた。
緻密な歴史理論書『経済学と歴史変革』(青木書店,1990年)は,尾崎先生唯一の単著である。常時20人を超える大学院ゼミでは午後の数時間休みなしでの議論が続いた。報告し発言することで随分鍛えられた。翻訳が出始めた『資本論草稿集』の大部分は尾崎ゼミで読んだ。
大塚理論や講座派理論とは異なる歴史理論の構築を志向し,「個人的所有」論や市民社会論ではいまひとりの恩師である平田清明先生とも異なっていて,尾崎先生には多くを教えていただいた。
ご冥福をお祈りする。