講演会を前にして大学図書館のラーニング・コモンズについての記事を目にした。『図書館雑誌』第107巻第9号(2013年9月)では大学図書館を特集し,同志社大学,明治大学和泉図書館,千葉大学附属図書館(アカデミック・リンク),帝京大学(「共読ライブラリー」)を紹介していた。日経新聞で始まった「図書館新時代」のシリーズ④では「育てる」のタイトルで千葉大学,秋田県立国際教養大学,金沢工業大学における図書館を教育の中心に据える取り組みを挙げ,図書館の大学の附属物から大学の心臓にする脱皮をしつつあるとしていた。
今日の講演は,加藤信哉筑波大学附属図書館副館長「ラーニング・コモンズ――大学図書館の学習支援――」だった(愛媛大学図書館学術講演会;愛媛地区大学図書館協議会協賛事業,ポスター→http://www.lib.ehime-u.ac.jp/NEWS/lecture20131004.pdf)。ラーニング・コモンズの概要,日米の現状をまとめ,学習支援のための図書館について課題を整理していた。学習支援や質保証という教育改革の流れと図書館機能の充実との結節点にラーニング・コモンズが位置づけられるのではないかと確認できた。また,図書館職員の専門性として重要だとされてきた司書的要素が相対化され,教育と研究への積極的な関わりが必要とされるようになっていることを理解できた。
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